被害状況をお聞かせください。
最終的には9万2000羽と公式発表しています。
発生時の対応について、マニュアルがあると思いますが、発生する前と後で何か変更したことはありますか。
マニュアルというのは、ある程度詳細に詰めているにも関わらず、発生規模や発生鶏舎、例えば前回はブロイラーでの発生、今回は採卵鶏での発生ということでも対応方法が若干変わってきます。実際の発生を踏まえて新たに見えたもの、というのが出てまいりますので、現在はその検証作業を行いながら、新しいマニュアル作成に入っているところです。
初期対応や対策本部の体制を具体的に教えていただけますか?
平成28年12月26日に養鶏農家から第一報を受けました。まずは現場の家畜保健衛生所に連絡をして、そのあと畜産課に連絡が入りました。そのあと各種検査を実施した後、翌27日に確定。この結果を受けて殺処分作業と、農場での防疫作業を開始したという状況です。
対策本部の対応というのは何人体制、といった決め事はありますか?
本県の場合、マニュアルでレベル3、要は県内での発生時には、熊本県鳥インフルエンザ防疫本部というものを設置することになっています。知事を本部長として、副知事を副本部長、各部の各部長、振興局の局長などが対象となり、対策本部を設置致します。
夜中の3時頃に対応可能かという電話を頂戴しました。
対策本部の設置と同時に様々な準備に取り掛かります。例えば資材など、備蓄で間に合うかどうかの確認も進めながら、不足しているものなどを全て調整していきましたので、実際に要請をさせていただくのが3時だったというわけです。備蓄に関しても、全て最大限を想定して準備しておくということは難しいことですので、ある程度の枠の中で備蓄できるものは揃えていくということで、このような形でお願いせざるを得ないんです。
物資調達のご依頼をいただいておりますが、私ども以外にもどういったところにご依頼されましたか?
基本的には防疫服や、専門的な消毒薬、医薬品、食料品などに関しては別の業者にお願いしており、消耗品などをコメリにお願いするというふうにしています。
調達や供給で困ったことや、次回以降の懸案事項だと思ったことなどはありますか?
コメリが配送までしていただいたのは非常にありがたかったです。地元のホームセンターは配送できないところもあり、直接店舗へ買いに行って手配したこともありました。やはりそこがネックになり、なかなか発注しづらかったです。
配送回数については、細かく注文すると多くなってしまいますので、時間を区切って午前の発注分、午後の発注分と分けた方が良いのかもしれません。
発生前後で備蓄量の変化、資機材の内容の変化はありましたか?
基本的に備蓄資材は、合計10 万羽に対応できる規模でやっていましたが、これについての変更はありません。備蓄品を収納する場所もありませんので、どうしてもそこは超えられない部分です。事前にあった方がいいものは事前に準備しておくという形で、内容も大きく変わりはないです。
マニュアルを改訂する準備をされているということですが、今後の課題や、今取り組まれていることは何ですか?
現段階ではっきりとお答えするのは難しいのですが、町内で作業された方々からは、平成26年に発生した際よりも、今回の方がずいぶん動きが良かったという意見は出ています。しかし、それでもやはり問題・課題はたくさんあるということで、見直しは必要ですし、随時行っていかなければなりません。
今回初めての発生を経験した自治体もあり、今後どこで発生するか分かりませんので、未経験の自治体にアドバイスがあればお聞かせください。
一番は、いかに食品の危機管理意識を高めたケージの準備をするかしないかの差だと思います。例えば熊本の場合は、前回の発生を受けて様々な研修会、防疫研修等を強化してきましたので、全庁的な職員の意識を高めていたのが対応可能となった大きな要因でもあると思います。「平時にいかに準備しておくか、常に様々なケースを想定し充実した演習を行えるかが大事かと思います。」
演習は毎年何回か行われているのでしょうか?
平成26年に県内で発生した4月13日を教訓に、基本的には農林水産庁の動員されるであろう職員を対象として、防疫の研修会を行っています。それから年に一回、全庁的に防疫演習も行っており、それらを踏まえて、地域での各振興局単位で防疫研修をやっていました。平成27年度からはさらに、防疫作業にあたる班員のリーダー、職員のリーダー研修というものも始めています。それらを行なっていたことでも若干、迅速な対応に繋がったのではないかと思います。それから国の主催する防疫研修がありますので、それを踏まえて各畜産課内や各班の役割分担を決めています。つまり防疫研修も当然やっていたということで、今回それぞれの役割を出すことができたかなと思っています。