新たな物資配送のニーズを探る

公益社団法人 中越防災安全推進機構 対談 公益社団法人 中越防災安全推進機構 対談
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤

物資配送の避難所までのラストワンマイルは被災者自身の力で。

古澤 私共の本来の設立趣旨から外れるかもしれませんが、避難所生活をより良く快適に過ごすために、避難所における搬入作業の体験等も啓蒙活動の一環として考えています。
 今までは防災グッズの使い方等を伝えて来ましたが、一歩進んだその後という部分を伝える事も必要なのかなと思います。

河内 物資を運ぶというのは非常にシンプルだとは思いますが、意外と訓練メニューにありません。
実際に避難所で生活するとなった時、避難所の運営者以外の大多数の人は何もせず寝ていたりします。でも、避難所の皆さんが協力して出来る事も少なくないと思うんです。それを事前に体験していただく機会として支援物資を皆で運ぶというのは、一つの形としてあっても良いかなと思います。

古澤 現在、行政と話をしていると救援物資は、国からプッシュ型で一次集積所に送られて来て、二次集積所に県が配送します。そこから、避難所までのラストワンマイルが問題となっています。私が直接関わりのある所で言うと、神戸市、岡山県等が危機意識を持って検討しています。
 今後は、避難所ごとに物を運ぶという事を、私共も考えてゆく必要があると思っています。

諸橋 通常、欲しい物はスーパーや薬局で買ったり、食べたかったら外食したり、ラストワンマイルは自分達で行っているんです。避難所でも自分で動けるのであれば、ただ待っているのではなく、被災前と同じようにラストワンマイルを自分で取りに行くことも出来ます。このようなラストワンマイルを、元気な人の分まで全部公助で抱えようとする事は違うのではないかと思っています。

河内 後は状況次第ですね。東日本大震災の時のように物が入ってこない、熊本地震にしても最初はとにかく物が無く、買いに行っても無いという状況の中で、どうやってそれを分配するか、配給するかという所が重要になって来ます。また、支援をいつまで継続するかという、支援の終わり方も大事な話だと思います。

古澤 今後も行政からの要請で私共が行なう避難訓練、防災訓練にぜひ協力していただきたいと思います。

諸橋 コメリ災害対策センターからプラスアルファの訓練メニューを提案すれば喜ばれると思います。

河内 例えば、災害時に行政が物資支援で何をしなければならないのか?時系列で対応を考えていただきながら、要請などのやり取りも含めて、情報伝達の流れ等を検討できるとお互いにとってメリットのある訓練が出来ると思います。
  協定先の行政が、どのように「SOSを発信したら良いのか」と、「支援物資をうまく受け取れるのか」を、事前に互いに良く理解できていたら、災害時の支援も円滑になると思います。行政によっても対応の違いがあると思うので、ワークショップで災害発生時のシミュレーションなどを、机上で行なうだけでも大きな成果が得られると思います。

諸橋 災害時にはプッシュ型で行政に連絡を取るのですか?それとも基本的には自治体からのリクエスト待ちなのですか?

古澤 基本的にはリクエスト待ちです。ただ、あまり連絡がないとどうなのかなと思って連絡をしています。

河内 最近、行政でも受援計画などを立てている所もあります。ただ、具体的にどのように支援物資を受け入れるかを検討している行政は多くない気がします。避難訓練ももちろん大事ですが、コメリ災害対策センターとしてのこれまでの災害支援の経験を活かして、本質的な救援物資の調達を円滑に行えるような行政との打合せや訓練も大切だと思います。

古澤 本日は様々なご意見をいただき、大変ありがとうございました。