豪雨災害におけるコメリの物資供給体制

平成30年7月豪雨災害 緊急座談会 平成30年7月豪雨災害 緊急座談会
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤
NPO法人コメリ災害対策センター 北原

確かな情報の入手と共有が、継続的な活動を可能とする

古澤 まず初めに、災害発生時からのコメリの商品や物流の動きについてお聞きしたいと思います。

阿部 物流の動きとしては、二つありました。一つは、NPO法人コメリ災害対策センター(以下:NPO)の物資供給の要請です。こちらは7月6日から8月28日まで対応させていただきました。もう一つは、店舗の商品供給です。水害の影響で営業休止となった店舗や、道路寸断で配送不可の店舗が数多くありましたので、日々SCM部(※1)と情報交換を行い、店舗ごとの対応を取ってまいりました。対応の一例として、ホームセンター真備店が7月14日から仮設営業を開始することとなりましたので、通常は夜間配送のところを朝降ろしに変更し、毎日配送させていただくことで対応をいたしました。
加えて広島県では、道路状況が悪く車両が辿り着けない店舗が2店舗あり、岡山流通センターと中四国地区本部(※2)とで連携し、車両が入れる場所に中継ポイントを設け、そこで店舗車両に商品を引き渡すという対応を行いました。

センター画像

古澤 お話にあった中継ポイントというのは、10t車では入れないが、4tや2tの軽車両であれば入れる場所ということでしょうか?

阿部 基本的に物流が扱う車両は、4t、6t、8t、10tなのですが、その中でも一番小型の4t車ですら辿り着けない状況でした。ですので、その4t車で行けるところまで行き、そこで店舗の軽車両に積み替えて中継をするという形を作らせていただきました。

石原 SCM部では官公庁様への対応と店舗への対応とで役割を分担していました。
官公庁様への対応としては、今回に限らずとにかく可能な限り即日納品となるように心がけています。在庫がない場合は代替品や分納をご提案するなど、少しでもお困りごとを解消できるよう努めました。
 特にブルーシートや長靴のようにサイズや規格がある場合は、「ご指定のサイズはございませんが、前後サイズを合わせると同様の数を揃えることが出来ます。」というように、ありませんという形ではなく逆に提案を差し上げて、先方にも即決していただけるような対応をさせていただきました。
 また、ちょっとした情報の行き違いも、大きな時間のロスや致命的なミスに繋がりかねませんので、急いでいても必ず事務局に物資供給報告書を作成してもらい、それを元にDB(※3)や北星産業(※4)とやり取りをするようにしていました。SCM部では私とDBなど関係人数が複数になりますし、北星産業でも窓口の方とは別に車両手配の担当の方がいます。また運送業者さんもいらっしゃいます。多くの人数が関わりますので、共通の物資供給報告書を元に対応することで、結果として最短かつ間違いのない納品が出来ると考えています。

北星産業株式会社 専務取締役 田中 孝幸 北星産業株式会社 専務取締役 田中 孝幸

古澤 そのSCM部からの提案を受けて、実際に被災地とやり取りを行ったNPOとしてはどうでしたか。

北原 サイズや規格についてはこちらから尋ねたとしても、そこまで考えていなかった、という反応が多かったと感じます。
 確認しますので待って下さいと言われ、しばらくしてご返答をいただくことが多いので、なるべく電話を受けた際には用途や使用者などを確認するようにしていました。しかし今回のように次から次に要請が来る場合、その確認が漏れてしまうこともありましたので、SCM部よりご指摘をいただき助かりました。
 NPOとしては、日頃から自治体様への協定のご提案の際や、顔を合わせての打ち合わせの際には、要請時の規格の確認についてお話をするように心がけています。ところが、その時にお話を聞かれた方が、実際に災害時にやり取りをされるわけではないため、その周知は我々から強く伝えなくてはいけないと感じています。
 今回は要請の数が多かったということもあり、商品や規格の確認に時間もかかりましたが、北星産業の車両手配が速く、物の動きとしては、これまでの災害の中でも比較的素早く対応できたのではと感じました。

株式会社コメリ SCM部ゼネラルマネジャー 粟野 雅行 株式会社コメリ SCM部ゼネラルマネジャー 粟野 雅行

粟野 ご要請いただいた物資をいかに早くお届け出来るかと、その物資の機能と用途を把握することは最も重要なことです。特に、要請を受けた段階では情報が不確定かつアバウトですから、何に使う物なのか明確にすることによって、きちんとした提案が返せるのだと思います。

古澤 いずれにしても、私達のように災害を多く経験している団体は多くないと思いますので、災害を経験しておらず手順を把握していない自治体には、こちらからご提案する形をとり、一速くお届けするということが必要であると思います。

※1 SCM(サプライチェーンマネジメント)部
 商品の入出荷や在庫量をコントロールする部署。物流担当の北星産業との橋渡し役となり、日々店舗への商品供給を行っています。

※2 中四国地区本部
 コメリでは全国に9つの「地区本部」を設置。物流拠点の流通センターと隣接し、商品の流れと情報の動きを的確に捉え店舗を支えています。
 中四国地区本部は四国地方及び兵庫県・鳥取県・岡山県・島根県・広島県内の店舗を管轄しています。

※3 DB(ディストリビューター)
SCM部内の担当の一つ。店舗への商品供給を安定的に行い、かつ過剰在庫とならないよう数量をコントロールしています。常に店舗や物流センターの在庫状況を把握でき、災害時にはその情報を基に物資の発注も行っています。

※4 北星産業株式会社
北星産業株式会社は、コメリの物流拠点である流通センターの管理・運営と、各店への商品配送業務を担当する企業です。現在は、全国に10か所の流通センターを配置しています。