豪雨災害におけるコメリの物資供給体制

平成30年7月豪雨災害 緊急座談会 平成30年7月豪雨災害 緊急座談会
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤
NPO法人コメリ災害対策センター 北原

状況に応じて柔軟な対応を

古澤 続いて、具体的にどのような物資を供給したのか、NPOの方から説明をさせていただきます。

北原 お届けした物資の内訳としましては、作業用品で土のう袋が一番多く、17万枚以上の供給を行いました。次いで軍手が4万5千双を超える数でした。その他、スコップや長靴、泥を落とすためのホース等、流れ込んだ土砂による被害が多かったこともあり、土砂を撤去するための作業用品は一通り要請が来たと思います。
 避難所用品については、飲料水やトイレットペーパー、食器、割り箸、カトラリー類など、内容としては通常の災害時とほぼ同じ内容で、大きな変更はありませんでした。私個人の印象ではありますが、平成27年の常総市での豪雨災害時の要請にハンガーや洗濯バサミがあり、熊本地震の際はありませんでした。今回の豪雨でもハンガーなどの洗濯用品の要請があったので、これは豪雨災害時の特徴ではないかと思います。
 要請のタイミングとしては、週末にボランティアが入りますので、それに間に合うように木、金曜に納品して欲しいとのご要望が多くありました。

古澤 様々な要請の中で、対応が困難だった物資はありますか。

石原 発電機です。メーカーでも欠品してしまい、被災地周辺の店舗だけでなく全国的に品薄となり、すぐに調達が出来ず、納品までお時間をいただくことになってしまいました。
 基本的にお断りせず、代わりの利く物資については、代替品で対応させていただくようにしました。
 災害発生からしばらく日数が経過して、文房具の要請をいただいたことがありました。少量多品種で商品の手配や納品に時間がかかりそうでしたが、DBの機転で通常は取り扱いのない商品も一つのベンダーに集約させ、まとまった金額にすることでメーカー直送として対応できました。
 その頃には被災地のコンビニなどでも文房具は手に入るようになっていましたが、継続して要請をいただいていました。災害の初期段階からの迅速な対応が、お客様の信頼に繋がった結果だと思います。

古澤 実際に広島県、岡山県のご担当者とお話しする機会があり、物資要請の確実な対応について感謝のお言葉もいただいております。
 北星産業では、車両に関して柔軟に対応いただきましたが、物資を配送する中での苦労はありましたか。

阿部 先に、上手く行ったところを二つ述べさせていただきます。一つ目は情報伝達の一本化です。ニュースを見てこれは長期戦だと確信し動きました。
 まずNPOからの要請がSCM部を通じて来るわけですが、その内容を確認し、各担当への作業指示や完了確認は私が行いました。次にDC商品の出庫、荷造り作業の担当を現地である岡山流通センターのセンター長が担いました。次に物量に見合う車両を手配する担当を、新潟の本社営業部より1名選出しました。この3名で、受けた要請に対応することで担当を明確にしました。
 そして、最後には完了確認が必要になりますが、お客様の名前で確認していては長くなりますから、連絡や報告は全て物資供給報告書に振り分けられたナンバーでやり取りをするよう徹底し、時間を短縮しました。
 今回の豪雨では約100件の物資要請があり、大型車両43台、軽車両が40台の合計83台の車両を使用しました。物資の総物量を計算し、それに見合った車両を適時手配して被災地へお届けでき、非常に上手く行ったと考えています。
 二つ目ですが、実は発災直後は車両の取り合いになっていました。弊社は全国で様々な運送会社を開拓していますので、その物流ネットワークを活用し車両確保に努めたのですが、車両が不足する場面もありました。ですので、複数枚ある物資供給報告書を1枚にまとめ、配達先・物量・納品日を再確認して配送コースを組み直し、1台で複数カ所降ろしを行うことで、限られた車両の効率的な運行を実現しました。
 苦労した点ですが、今回のように通常業務に緊急物資対応、店舗の被害対策が加われば、作業者や場所の確保が必要となります。
 人の手配は急には出来ませんし、必要な作業人数もわかりませんので、センター長と各現場の責任者を中心に対応にあたりました。場所はボリュームに応じて臨機応変に対応しました。特に場所の確保に苦慮したのは、一度の配送の物量が10t車4台分となった要請です。作業日が偶然土曜日だったので週内の資材配送は完了しており、空いた資材の出荷仮置き場で対応しました。