豪雨災害におけるコメリの物資供給体制

平成30年7月豪雨災害 緊急座談会 平成30年7月豪雨災害 緊急座談会
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤
NPO法人コメリ災害対策センター 北原

これまでの経験から、逆提案をすることで問題の解決に繋がる

古澤 要請時に「この商品はいくつ用意出来ますか?」というご質問をされる場合があります。そのような場合、必要な数を提示いただくようお願いをするのですが、その瞬間の在庫などはお伝えできるものでしょうか。

石原 その時点で在庫があっても、直後に他の団体や自治体から要請を受けて在庫がなくなる可能性もあります。ですので、例えば「午前中までにご要請いただければこの数は手配出来ます。それ以降は再度お問い合わせください」という回答になると思います。先方も不安な気持ちで作業をされていると思いますから、少しでも安心感を持っていただくために、供給可能であるということは出来るだけお伝えできるよう努めています。
 また、お問い合わせの段階では車両の手配はできず、納品日時も特定できません。車両を手配する側の立場からすると、要請が確定すればその物量に見合った車両が最短で手配出来るのですが、物量が確定していない段階で納期のみ問い合わせがあったとしても、車両のサイズや道路幅など、条件が具体的に決まらなければ答えられない部分があります。
 今回、北星産業も要請が確定しないと何も答えられませんということはなく、これくらいの物量、タイミングでの要請ですと明日の午前中にはどこまで行けます。というように回答をいただけたので、次の要請時への対応にも繋げることができました。

古澤 そこは私も上手く行ったと感じたところで、これまでは土日の車両手配が難航することから、週末は要請がなくても車両を1台は確保し、待機させておくような感覚でいたのですが、今回は全くそのような事態がありませんでした。

阿部 今までのような車両の予約という話は一件もありませんでした。災害直後に車両の取り合いになっていたのは事実で、経験上、予約が取れたとしてもキャンセルになりキャンセル料が発生していたと思います。
 しかし、今回は車両手配後のキャンセルは発生しませんでした。要請の受付から手配までの精度を保っていけば、今後も無駄な手配や経費の発生も回避出来ると思います。

北星産業株式会社 業務改革推進部店舗作業支援課 次長 阿部 和美 北星産業株式会社 業務改革推進部店舗作業支援課 次長 阿部 和美

石原 過去の事例から考えると、車両の奪い合いになるので予約が必要、という提案が来ていたかも知れませんが、今回はありませんでした。北星産業が築いてきたネットワークの中で、信頼関係が出来ていたのではないでしょうか。

阿部 運送会社さんには、北星産業から出る緊急物資対応について前向きな車両確保の動きを取っていただきました。先程申し上げた車両の取り合いの中でも、確保できませんでしたという報告はありませんでした。
 これは弊社の営業部が、全国に物流のネットワークを構築した結果だと思っています。ご協力いただいた運送会社の方々と弊社とで、良好な関係が構築出来ているのだろうと思います。

田中 ネットワークは拡大し続けています。北星産業では現在お取引先を開拓しており、商品を運ばせていただくだけでなく、彼らが使用している運送会社とも協力関係が組めるようになってきています。それらと助け合い、情報交換をしながらネットワークが網の目のごとく増えてきているのです。

古澤 我々も、協定先から災害発生時にいち早くご要請をいただけるよう、平時から顔の見える関係の構築に力を注いでいく必要があると感じています。

株式会社コメリ SCM部DBグループ シニアマネジャー 石原 哲雄 株式会社コメリ SCM部DBグループ シニアマネジャー 石原 哲雄

北原 いち早く要請をいただくという点では、近年被災地以外の応援自治体からの要請がかなり増えてきています。応援自治体は被災していませんから金額に対してシビアであり、予算を提示されその中で数量を調整し送って欲しいというご要望になります。被災地からのご要請に対応しつつ、支援の気持ちを断る訳にはいきませんから、時間がかかってもSCM部や自治体と数回やり取りを行い、対応するよう努めています。
今後も応援自治体からの要請は増えると思いますが、どのようなアプローチが最善になるでしょうか。

石原 要請内容の確定までに時間のかかるようなお問い合わせに対しては、今後もこちらから対応可能な商品や納期を逆提案していくことが最善かと思います。
 先程もお話ししましたが、お問い合わせの段階で在庫量をお伝えしても、正式な要請をいただく頃には在庫状況が変わっている可能性もあります。
 緊急時に車両や商品を仮押さえするということは、短時間でも現実的ではありません。ある程度こちらの状況を理解していただくことが、結果として一件でも多くのご要望にお応えできることにつながると思います。どのような説明と提案が相互に納得のできる結果に繋がるのか、被災地以外の対応については今後も検討していく必要があります。

古澤 現状としてはあくまで被災地優先とさせていただき、多くの要請があるということを理解していただいた上で対応するということですね。