尾鷲市 / 三重県南部集中豪雨(S46)

被害状況

死亡26名、被害総額約44億円 山津波再発の危険も深刻

集落の被害

最も甚大な被災地は、死者13名ずつを出した賀田、古江の両地区で、激しい山津波が各所で起こり、ことに賀田では背後の山のほとんどの谷が引きさかれ、再び大雨などになればもう逃げ場もない有様です。しかも河川の氾濫は著しく、部落の中心を流れる川は河床が5mも埋まり道路より川の方が高くなって濁流が部落に氾濫する始末でした。
古江、賀田につづいて、三木里、大曽根などの被害も大きくかなりの家屋が浸水に見舞われました。

交通通信施設の被害

道路、鉄道通信網は随所で破壊され、三木里、九鬼、古江、賀田の各部落は一時完全な孤立状態に陥りました。その後、鉄道、通信と一部道路は災害翌日に復旧しましたが、国道311号線の尾鷲、九鬼間は被害が大きく復旧の見込みがたたない状態が続きました。

教育関係の被害

教育施設の被害も大きく、とくに賀田小学校は一部土砂で埋まりました。

産業関係の被害

産業面では、林業、農業が農林道を各所で破壊された痛手が深く、水産業においては、はまちの養殖が汚水で多くの損失を受けました。そのほか商工業の浸水による被害もかなりに昇りました。

保健、衛生関係

山津波と洪水で、水道、し尿関係の施設など、広範囲に破壊されたほか、汚水の氾濫で防疫活動が続けられました。>

まとめ

この災害は、集中豪雨による山津波と河川の氾濫が特色で、その復旧だけで10億円が見込まれ、被害総額は43億5千万円に達しております。

被害一覧表(昭和46年9月18日現在)

1)人的被害
区分 人員 摘要
合計
56
 
死者
26
古江13人
賀田13人
負傷 重症
軽症
小計
18
12
30
 
2)被災世帯と人員
区分 世帯数 人員 摘要
合計 744 2,430  
全壊流失
半壊
床上浸水
床下浸水
37
21
241
445
115
62
805
1,448
床上以上被害世帯数
三木里地区
古江地区
賀田地区
その他
83
16
161
39
3)家屋の被害
区分 棟数 摘要
合計 784  
全壊流失
半壊
床上浸水
床下浸水
42
24
259
459
内非住家


5棟
3棟
18棟
14棟
4)被害総額
区分 単位 被害数 被害額 摘要
合計
  4,350,939  
住家  
  270,360  
土木
施設
砂防
道路
河川
橋梁
小計

10
109
34
3
156
458,500
1,228,750
548,205
7,000
2,242,455
都市
施設
公園事業
堆積土砂排土
小計

  2,500
15,000
17,500
 
農業
関係
水稲
蔬菜
柑橘
農地
農業用施設
有線施設等
小計
ha
ha
t
ha
ヶ所


15
2
57.6
8.75
41


5,579
1,882
22,781
67,700
273,105
14,248
385,295
 
林業
関係
林道
山地崩壊
林産物
小計
ヶ所
ヶ所
ha

31
121
575.43

13,360
1,046,000
63,940
1,123,300
 
水産
関係
養殖関係
漁具
給油施設
小計
 
1


119,588
4,500
157
124,245
 
畜産
関係
畜舎


小計
ヶ所



2
14
250

400
42
175
617
 
教育
関係
中学校
小学校
幼稚園
公民館
青年の家
幼児学級
小計
  5
13
2
7
2
1

2,470
71,242
150
185
250
8,350
82,647
 
商工
関係
工業建物
設備機械
製品・半製品
店舗
その他
小計
ヶ所
ヶ所
ヶ所



3
14
5
51
1

9,450
10,850
400
72,050
500
93,250
 
観光
関係
市営施設
釣堀
竹林
小計
  1
1


800
400
20
1,220
ユースホステル



衛生
関係
簡易水道
屠場
小計
  5
1

10,000
50
10,050
 

市内の主要被害図

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