長岡市 / 新潟県中越地震(H16)

問題点・教訓

(1)災害対策本部の設置

  • 震度5強以上の地震発生時
  • 市役所(本庁舎)3階の中会議室に設置
     ◎本部会議(本部長、副本部長、本部員)
     ○本部事務局
     ○各災対部(総務、避難、救護、土木ほか)
  • 市役所が被災し機能を確保できない時は、他の市有施設に設置
問題点と課題
●災害対策本部(建物)の安全性確保
  • 本庁舎が停電し復旧まで約2時間半かかる。この間、一時消防庁舎に災害対策本部を移設した。
  • 災害時に重要な機能を果たす建物としては、十分な耐震性を備えていなかった。
●災害対策本部等の設置に伴う執務スペース等の確保
  • 災害関係者控室や各応援部隊及び情報連絡員などの執務・活動スペースが不足した。
  • 迅速なマスコミ対応が可能となる報道・情報スペースがなかった。
●災害対策本部と各災対部における対応職員の不足
  • 本庁舎における電話対応要員が不足した。
  • 災対本部と各災対部の間で情報提供に遅れが生じた。

(2)地区防災センター及び避難所の開設・運営

  • 市内の小中学校32箇所を地区防災センターに指定

その他の113箇所を避難所に指定(市職員、当該小中学校教職員等が対応)
(小中学校:当該小中学校の教職員が対応)
(保育所:災対本部派遣職員及び勤務者が対応)
(公民館など:施設管理者及び勤務者が対応)

問題点と課題
●地域に根ざした避難所の指定・開設
  • 最大125個所の避難所を開設。うち、52個所は地域で自主的に開設された避難所であった。
  • 車中泊避難によるエコノミークラス症候群が発生した。
●地域コミュニテイと連携したきめ細やか避難所運営
  • 地区コミュニテイセンター、町内会(自主防災組織)、地区消防団、市職員との明確な役割分担と連携が必要であった。
  • 高齢者や妊婦、要介護者等へのきめ細かな支援が必要となった。
●地区防災センター及び避難所の設備の改善とバリアフリー化
  • 地区防災センターや避難所の一部が被災し停電、発電機が必要となった。
  • 避難施設(体育館)までのテレビアンテナ配線や電話配線の設置が必要であった。
  • 高齢者や障害者が使いやすい洋式トイレの設置が必要であった。
  • プライバシーの確保のための簡易間仕切りが必要であった。
  • 授乳や着替えのための小部屋が必要であった。
  • 給湯設備が必要であった。

(3)災害情報の収集・発信

  • 災対本部は、市各災対部、関係機関、自主防災組織、町内会等から情報収集し被災状況を把握
  • 防災無線、災害時優先電話、非常緊急通話等の活用
  • 防災無線、広報車、報道機関を使って広報
  • 長岡市ホームページでの広報
問題点と課題
●迅速でかつ正確な災害情報等の提供できる情報収集・発信の拠点づくり
  • 地震発生直後、携帯電話がほとんどかからないばかりか一般電話もかかりにくい状況が続く。このため、被害状況及び避難所の開設状況の把握に難航した。
  • 災害対策本部への県や防災関係機関の情報連絡員派遣により連携を確保してきたが、これら活動拠点スペースが必要であった。
●多様な情報発信とコミュニテイ放送の活用
  • 災害緊急FM放送局を開設するとともに災害本部会議を公開・生中継し、マスコミ報道を通じて最新情報を提供した。(ラジオでの注意喚起が最も有効な手段となった。)
●携帯電話による非常災害時のメール活用
  • 携帯電話によるメールの活用は特に支障がなく繋がる状況にあった。
  • インターネット(市ホームページ)を活用した情報提供に遅れが発生した。

(4)災害対策用物資等の備蓄・搬送

  • 災害対策物資備蓄センター(摂田屋分室、阪之上小学校ほか)
  • 水・食糧の備蓄は特に行っていない
  • 健康センター(救急医療資器材)
  • 消防本部(エアーテント)
  • 地区防災センター(軽微な災害備蓄物資)
  • 飲料水兼用大型防火水槽(市内2箇所)
問題点と課題
●災害対策用物資の計画的な備蓄と搬送・管理
  • 水・食糧の備蓄は特に行っていなかった。
  • 食糧応援協定がある程度機能し飲料水なども比較的早期に確保できたが、支援物資の仕分け・搬送に多くの労力とスペースを要した。
  • 支援物資保管場所が不足した。
  • 毛布・発電機・ガスコンロ、仮設トイレ又は携帯トイレの備蓄が必要であった。
  • 暖房機器など、寒さに向けた十分な備えが必要であった。
●緊急車両及び各応援車両の待機・集結場所の確保
  • 被災当初は本庁舎周辺を集結場所としたため、職員・一般車両のほか各応援部隊や支援物資等の車両で飽和状態となり、交通混雑を来たした。
  • 各応援部隊の活動ヤードの確保が必要であった。

(5)ライフライン等の復旧体制

  • 上水道:2週間程度で全戸供給を図る
  • ガス:被害の少ない地域から順次
  • 電気:公共施設、病院、避難所を最優先
  • 下水道:重要度の高い機械配管等を優先
  • 電話:災害対策機器等を用いた仮復旧
問題点と課題
●ライフライン主要施設の耐震性の確保
  • 上水:信濃川取水口である妙見浄水場が停電により機能しなかった。(約70,000戸断水)
  • ガス:JR信越線東側でガス漏れが発生し、約23,000世帯の供給が停止した。
  • 電気:長岡市のほぼ半数の地域で停電した。地区防災センターや避難所においても停電があり、電源車を要請した。
  • 下水:広範な地区で水洗トイレが使えず一時緊迫。応急対策と全国からバキュームカーが派遣された。(約10,000世帯使用不可)
  • 電話:携帯電話がほとんどかからないばかりか一般電話もかかりにくい状況が続き、NTT災害電話を配置した。

(6)医療・救護及び福祉体制

  • 長岡市震災時医療救護計画に基づき実施(震度5強以上の地震発生時に適用)
  • 災害医療本部の設置(市健康センター)(市及び長岡市医師会による)
  • 医師会による避難所巡回
  • 心のケアチームの編成
  • 保健師・保育士による救護所の支援
  • 社会福祉施設による災害弱者の生活確保
問題点と課題
●災害弱者の迅速な避難誘導と安否確認
  • 独り暮し高齢者や在宅障害者の一部が避難できなかった。
  • 本庁舎及び各地区避難所においては、安否情報(個人情報)の問合せに苦慮した。
●避難生活におけるきめ細かなサポート体制の確立
  • 高齢者や乳幼児及び妊婦などへのきめ細かなサポートが必要となった。
  • 避難生活の長期化により、インフルエンザ予防、体調管理、心のケアが必要となった。
●高齢化に即した救護体制の確立
  • 地震直後から社会福祉施設への短期入所受け入れ等の救護を行った。
  • 介護・福祉施設が濁杯の状況となった。
●災害ボランティア受け入れ体制の充実
  • ボランティアセンターの場所がわかりにくかったため、受入れ・配置等に時間を要した。このため、満足な支援活動に結びつかなかった場合もあった。
  • ボランティア活動スペースや駐車場等が不足した。
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