豊岡市では、防災行政無線が整備されており、自治会組織も強固であるなど、災害時の情報伝達に有利な条件が整っていたが、避難勧告の対象となった15,119世帯、 42,794人に対し、避難所に避難した人は、わずか3,753人にとどまった。避難所以外に避難した人を勘案しても、多くの人は避難しなかったことになる。(NTTドコモモバイル研究所調査では、自宅の外に避難した人は、32.9%でほぼ3人に1人となっている) その結果、消防、警察、自衛隊等に救出された人は939人に上り、避難しなかった人の約4割は「浸水のために何日か孤立してしまった」。これらの人たちは、水がなかなか引かなかったこともあり、船で炊き出しなどの支援を受けながら、長時間自宅の2階などで耐えなければならなかった。 また、明石市でも、自治会や防災行政無線を通じて連絡し、マイクロバスを出したが15人しか避難しなかった。
いくつかの市町村では、避難勧告が出されたときには、一部の地域は既に冠水しており、避難の大きな障害となった。豊岡市では、外部へ避難した人のうち、72%の人がひざ以上の水の中を避難している。
豊岡市では、外部へ避難した人に対し、避難先までの距離をきいたところ、300m未満が半数以上、 1km未満だと83%にのぼり、家を出てから避難先につくまでの時間は平均15分と、近い場所に避難していたことがわかる。
自動車で移動中に被災したと思われる犠牲者が発生した。
一部の避難所が水害を十分想定せずに指定されており、実際に浸水したケースがあった。