兵庫県 / 平成16年台風第23号

避難所の状況

避難しない住民

豊岡市では、防災行政無線が整備されており、自治会組織も強固であるなど、災害時の情報伝達に有利な条件が整っていたが、避難勧告の対象となった15,119世帯、 42,794人に対し、避難所に避難した人は、わずか3,753人にとどまった。避難所以外に避難した人を勘案しても、多くの人は避難しなかったことになる。(NTTドコモモバイル研究所調査では、自宅の外に避難した人は、32.9%でほぼ3人に1人となっている) その結果、消防、警察、自衛隊等に救出された人は939人に上り、避難しなかった人の約4割は「浸水のために何日か孤立してしまった」。これらの人たちは、水がなかなか引かなかったこともあり、船で炊き出しなどの支援を受けながら、長時間自宅の2階などで耐えなければならなかった。 また、明石市でも、自治会や防災行政無線を通じて連絡し、マイクロバスを出したが15人しか避難しなかった。

冠水後の避難

いくつかの市町村では、避難勧告が出されたときには、一部の地域は既に冠水しており、避難の大きな障害となった。豊岡市では、外部へ避難した人のうち、72%の人がひざ以上の水の中を避難している。

避難所までの距離

豊岡市では、外部へ避難した人に対し、避難先までの距離をきいたところ、300m未満が半数以上、 1km未満だと83%にのぼり、家を出てから避難先につくまでの時間は平均15分と、近い場所に避難していたことがわかる。

自動車での被災

自動車で移動中に被災したと思われる犠牲者が発生した。

避難所の浸水被害

一部の避難所が水害を十分想定せずに指定されており、実際に浸水したケースがあった。

避難所における災害時要援護者への配慮

  • 避難所での生活にあたっては、災害時要援護者には、特別な配慮が必要となるが、障害者やその家族には、避難所に行くと他の人に迷惑をかけるなどの懸念から、避難しないケースがみられた。
  • 豊岡市は、避難所へ手話通訳者を派遣した。
  • 豊岡市では、避難所においては、防災行政無線の情報が掲示板に張り出されていたが、視覚障害者には見えないので、情報が伝わらなかった。
  • 「避難所に行ったが、暖房もなく寒くてやりきれないのであきらめて引き上げた」
    「じっとしていられず家族で家に帰った」という例が報告されている。
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