今回の台風災害では、消防団は、台風接近から平成16年11月上旬までに、全県で延べ32,063人が活動した。災害当日の平成16年10月20日の出動状況を見ると、最も多かったのは西脇市の1,190人、次いで養父市1,129人、三原町900人、豊岡市762人など、被害が大きかった地域で活発な活動が行われた。豊岡市消防団の活動を例にとると、取り残された人の避難誘導・救助(実績376人)、土嚢積み(約3,600袋)、病院等への給水、避難所への食糧供給、流木撤去、地下室の水の汲み上げ、土砂崩れ現場の通行止めなど、多様な活動を展開し、応急・復旧活動において大きな役割を果たした。豊岡市消防団は後に、台風23号災害における活動により、内閣総理大臣表彰を受けている。また、兵庫県消防協会の呼びかけに応じ、600名を超える消防団員が、被害の大きかった但馬、淡路、北播磨地域の応援にかけつけた。一方波賀町では、強風で倒れて道路を塞いだスギの除去作業を行っていた消防団員が、新たに発生した倒木の直撃を受け、殉職されるという痛ましい事故も発生した。
今回の災害では、避難勧告が出された42市町村中、16市町村で自主防災組織が避難呼びかけ、安否確認などの活動をおこなっていた。また、豊岡市では、61%の区で自主防災組織が機能したと答えている。県が行った市町との意見交換会でも、自主防災組織の重要性が各地で指摘されている。
復旧に際して土木、農林、保健等さまざまな分野で多くの技術者や専門家が必要になるが、規模の小さな市町でが十分な技術者を確保することが困難であった。これに対し、県は平時の市町との業務分担にとらわれず、市町への技術者の派遣、業務の肩代わり等の支援を積極的に実行した。
土木施設の被害状況調査 | 31名 |
災害査定設計書作成 | 143名 |
水道施設の仮復旧 | 4名 |
救護班の派遣 | 202名 |
震災・学校支援チームの派遣 | 29名 |
心のケア対策 | 19名 |
健康相談 | 延べ275名 |
防疫対策 | 110名 等 |
復旧に際して市町の人材が不足したため、被災市町からの要請に基づき、派遣可能な市町からの短期派遣の斡旋が行われた。
平成16年10月23日~平成16年12月17日、18市28町から被災5市7町に対して職員延べ4,564人、パッカー車等延べ966台を派遣
平成16年11月29日~平成16年12月25日、9市町から被災5市町に対して職員延べ289人を派遣
「近畿府県2府7県震災時等の相互応援協定」等に基づき、他府県から土木職等の応援がなされ、それらの多くは市町の災害査定設計などの応援を行った。また、災害廃棄物の処理に関し、大阪府下の市からパッカー車の派遣、廃棄物の焼却等の協力があった。
近畿府県 | 58名 |
岡山県 | 1名 |
鳥取県 | 3名 |
島根県 | 4名 |
広島県 | 4名 |
山口県 | 4名 |
佐賀県 | 2名 |
長崎県 | 2名 |
鹿児島県 | 2名 |
兵庫県は、平成16年10月20日15時40分、人命救助を目的として、陸上自衛隊第3特科連隊に対して 自衛隊員100人の災害派遣を要請し、洲本市で141人が救助活動を行った。以後、災害の状況に 応じて順次増員が行われ、洲本市、豊岡市、小野市、西脇市、津名郡一宮町、津名町、出石町において、 計516人が救助活動を展開した。
相互応援協定に基づき、県下各地の消防応援隊30隊128人が出動し、平成16年10月22日14時まで被災地で救助活動を行った。
豊岡市での活動:神戸、阪神、東播磨、西播磨の各地区から出動し557人を救助
西脇市での活動:姫路市、加東行政(事)が出動
兵庫県は、平成16年10月21日8時20分、北但消防本部からの要請を受け、緊急消防隊の派遣を消防庁に要請し、 大阪府、岡山県、滋賀県、愛知県から70隊284人の緊急消防援助隊が平成16年10月22日14時までの間、派遣された。 緊急消防援助隊により58人が救助された。