平成28年度 高病原性鳥インフルエンザ

侵入時期・経路

農場・家きん舎への侵入

1.侵入時期

   感染試験の結果、鶏50%致死ウイルス量は、過去のウイルスと比べて高い値を示したことから、感染・発症により多くのウイルスを要することが示唆された。また、生存曲線解析の結果、高濃度に感染させた場合は、ほとんどの鶏で2~3日後に死亡が確認された。実際の臨床事例では、ウイルスの暴露量にばらつきがあること、感染部位も実験のように確実でないこと、他の鳥への感染と増幅が必要であること等を考慮すると、農場においてウイルス感染による死亡羽数の明確な増加が観察されるまでには、さらに数日を要すると考えられた。
   また、感染試験の結果、過去のH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスと比較すると、鶏に対する病原性が低下している可能性が示されたが、各発生事例とも死亡羽数の増加が確認されたこと、感染試験でも死亡が確認されていることから、死亡羽数の増加が早期通報の指標として適切であったと考えられた。
   以上のことから、家きん群へのウイルス感染時期は、死亡羽数の増加が確認されたおおよそ3~10日前と考えられた。

2.侵入経路

   侵入経路については、青森県の事例を除き、距離や時間が離れていたこと、疫学的な関連が認められなかったことから、発生農場間での関連は低いと考えられた。
   なお、宮崎県の2つの事例は両農場が比較的近い位置にあるが、発生日が離れていること、遺伝子グループが1例目ではGP1、2例目ではGP4と異なるため、宮崎県1例目のウイルスがまん延し2例目の原因となった可能性は極めて低いと考えられた。
   青森県の事例では、1例目と2例目の農場間の距離が近いこと、分離されたウイルスがほぼ同一であることから、2例目は、1例目の農場内で増幅したウイルスが何らかの経路により侵入した、または、1例目と周辺環境が同一であることから1例目と同一の病原巣から数日間の時間を隔てて1例目及び2例目の農場にそれぞれウイルスが侵入したと考えられたが、いずれかを明らかにするのは困難であった。
   以上から、青森県の2例目を除き、農場間を人や車両等を介してウイルスが伝播した可能性は極めて低いと考えられた。

出典
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