熊本地震
経験のない大地震にどう対応したのか

「今日の経験を防災計画に反映していくことが今後の課題」御船町総務課 課長 吉本 敏治様 「今日の経験を防災計画に反映していくことが今後の課題」御船町総務課 課長 吉本 敏治様
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤

「プロ」の目を加えて官民一体の災害対応を

職員の役割分担というのはあらかじめ決められていたのですか?

 各課の役割分担は決めてはいましたが、被害の程度が大き過ぎ、予定通りにいかなかったというのが実情です。防災計画は役場機能が損なわれていないことが前提でしたが、停電や断水もありました。最大で6000人以上の避難者がおり、避難所の対応、給水車の手配、食料の確保、それと物資の受け入れで、ほとんどの時間と人間が費やされてしまったという状況で、とにかく全員で対応しなければなりませんでした。
支援物資は2、3日目頃から届き始めたと思います。道路関係のインフラが機能しておらず、午後5時ごろに着くと電話があっても、実際は夜中の1時に到着するといった状況で、初期段階は寝る時間もなく受け入れ対応をしていました。

供給物資に関して、他に困ったことはありましたか?

 最初は少量だった支援物資が、ある時期から町の体制が整わないうちに大量に届き始めました。様々な形で支援をいただき本当に助かりましたが、支援は24時間いつ来るかわからない状況で、現場の職員にはかなりの負担をかけたと思います。現在、いただいた支援物資は町の施設に保管してあります。また、コンテナ6台を各地区に配置して、保存が効く物については一時的にコンテナに保管しているという状況です。

コメリ災害対策センターについて、ご意見があればお願いします。

 一番思ったのはやはり町の職員だけではどうにもならないということです。今後の検討事項ですが、例えばコメリや、地域の商業関係者の方に、在庫管理や仕分けに関してお手伝いいただきたいということがあります。どのような場所を物流拠点にしたらいいのか、体育館での物資の配置など、プロの目で見ていただき、アドバイスいただくだけでもずいぶん違うと感じました。
また、人的支援ということで協力いただき、官民一体となって災害対応に当たるということが目指せればと思います。もちろん自治体が中心となって被災者の対応をしないといけませんが、どうしてもノウハウが足りない部分がありますので。

御船町被災写真

経験で見えてきた課題を防災計画に反映させていく

 町には防災行政無線がありませんでしたので、情報の発信ができなかったことが一番困りました。情報収集にも苦労しましたが、集まった情報は職員の中でなんとか共有できました。しかし情報発信ができないので、住民の方々は不安を感じておられたと思います。まずは防災行政無線が必要だろうと思います。
熊本はこれまでに、水害は度々ありましたが、ここまで大きな地震はありませんでした。今回「地震とはこういうものなんだ」ということを皆さん一度経験されましたので、もしもこの次があっても、個人個人がある程度のことは対応できるのではないかと期待はしています。もちろん、楽観視はしておりません。輸送の問題、避難所、備蓄、色々と課題が見えてきました。今日の経験を防災計画に反映させていくことが、今後の課題だと考えています。

御船町総務課 課長 吉本敏治 様(左) 地域・防災係 主幹 宮川一幸 様(中) 地域・防災係 主事 山下史紘 様(右) 御船町総務課 課長 吉本敏治 様(左) 地域・防災係 主幹 宮川一幸 様(中) 地域・防災係 主事 山下史紘 様(右)