鳥インフルエンザ発生
求められる、迅速な対応

必要物資の迅速な調達が大切。予め必要素材をリストアップし、備蓄を確認。宮崎県庁 農政水産部家畜新生推進局 必要物資の迅速な調達が大切。予め必要素材をリストアップし、備蓄を確認。宮崎県庁 農政水産部家畜新生推進局
(聞き手)NPO法人コメリ災害対策センター 古澤

必要物資の迅速な調達が大切。予め必要資材をリストアップし、備蓄を確認。

今回2ヶ所、川南町と木城町で発生しましたが、それぞれの被害状況についてお聞かせください。

 1件目の川南町では約11万7000羽。2件目の木城町では約16万6000羽の被害となりました。

マニュアルを何度か改定もされていると思いますが、現行のマニュアルについてお聞かせください。

 現行のマニュアルは、平成26年12月に県内で発生した2件を契機に改定したものとなっています。最終的に遺伝子検査で確定をしますが、検査結果を待っていると対応が遅れてしまいます。疑い事例の段階で、簡易検査をするのですが、そこで陽性だった段階で準備を開始するということで、平成27年以前のマニュアルとは対応を変更しています。

畜産振興課 環境草地担当 主幹 垂水啓二郎様 主査 北村明彦様 畜産振興課 環境草地担当 主幹 垂水啓二郎様 主査 北村明彦様

確かに今回、連絡の素早さは感じました。風評被害の観点から、確定前では情報を出せないという県もあるようですが。

 今は簡易検査の精度も上がっていますし、確定検査との一致性が非常に高いという観点からも、早い対応が可能になっています。また、万一の発生に備えた予算を事前に確保しており、確定前の段階でも準備に着手できることも、迅速な対応の1つの要因であると思います。

対策本部については、簡易検査をする頃には立ち上げているということでしょうか?

 簡易検査をして陽性と分かった時点で、県の対策本部を立ち上げることにしています。大きく県庁の対策本部と、現地の対策本部がありまして、県の対策本部は県庁内に設置するのですが、現地ですと、その農場を管轄している農林振興局の中に現地対策本部を設置します。

様々な部署が絡んでくると思いますが、部署間の役割分担についてはいかがでしょうか?

 県庁内で約1000人の候補者を年度当初にリストアップしており、発生規模に応じて何人必要か精査して、それぞれの部局に必要な人員を要請し、基本的には同意者に県庁へ集まっていただきます。

テレビでも拝見しましたが、夜中に出発され、すぐに殺処分に入るということですが、作業される方々は交代制ですか?

 だいたい8時間程でローテーションを組むようにしています。県の職員以外にも、発生した市町村の職員、農協の職員、自衛隊の方々や、特に埋却に関するところでは地元の建設業協会にも協力をいただいています。

物資の調達について、調達先は私どもの他にも何社かピックアップされていることと思います。どこにどれくらいの量を依頼しよう、というのは事前に決めておられるのですか?

 必要な資材はリストアップして、備蓄がどれくらいあるか整理しています。品目も多岐にわたりますので、業者関係は「これはここに発注する」というのを日頃からリストアップしています。
基本的に10万羽程度の備蓄をしていましたが、例えば鶏の大きさによっては、1回に処分した鶏を入れるビニール袋が想定よりも多く必要になったりする場合があります。そういう物は特に急ぐものですから、コメリにもお願いしつつ、とにかく重複してもいいのでという考えで、発注は他の業者含め複数箇所に掛けていました。

家畜防疫対策課 防疫企画担当 副主幹 丸本信之様 防疫指導担当 西村拓也様 家畜防疫対策課 防疫企画担当 副主幹 丸本信之様 防疫指導担当 副主幹 西村拓也様

私どももできる限り対応してお送りしていますが、十分ではなかったと思います。調達や供給でお困りになったことはありますか?

 殺処分を開始するのがどうしても夜中になってしまうという関係で、夜発注しても資材が集まらないと、到着が次の日の朝に掛かってしまいます。これはもう致し方ないことだとは思うのですが、一部の資材が揃いきらなかったというのは私どもの反省でもあります。その点、今回コメリは夜にも連絡が取れて本当に感謝しております。
今回の2件とも、発生してから発注するというのは、まずスケジュール的に厳しい面がありますので、10万羽程度分は少なくとも備蓄をしておかなければなりません。今回は1例終わって次が発生、という形だったのですが、もしこれが重なっていたらとても対応しきれませんでした。

コメリ災害対策センターについて、こういったところが良かった、ここを改善してほしい、といったご意見を頂戴できれば幸いです。

 県内には他にもホームセンターがありますが、夜中だと電話を掛けられるところもありませんし、対応してもらうことができません。そのような中で、今回も、次の準備がすぐできたのは非常に助かりました。
こちらの反省なのですが、現場へ資材を送りはしますが、その資材を誰がどう管理するのか、欲しい資材がどこにあるのかとか、その辺の整理ができていませんでした。資材専門の担当も置いていく必要があるのかなとは思います。

「いかに発生をさせないか、それに尽きると思います。」

今後の課題と取り組みについてお聞かせください。

 一番の課題は「いかに発生をさせないか、それに尽きると思います。あとは万が一発生した際には迅速に対応をすることで、被害を広げない」ということが重要になってきます。今回は大きな問題は無かったと考えていますが、現場レベルでは細かな問題がたくさんありましたので、そういうことを今後、今作っている県のマニュアルに反映させていき、より迅速・的確な対応ができるように見直しを図っていきたいと考えています。

「発生してから資材を手配していては間に合わないということです。」

最後に、今年度は過去に発生していなかったような地域など広範囲に発生しましたが、あまり経験のない自治体に対して、アドバイスなどお話しいただければ幸いです。

 今回まず感じたのが、「発生してから資材を手配していては間に合わないということです。」これまで、現場で確認して必要な資材を見積るという形だったのですが、それでは間に合いません。あらかじめだいたいの規模別に資材の量をリストアップして送れるようにしておき、現地で見た上で、足りない物を再度調整するというやり方に変えてきています。
よく他県から、宮崎は対応が早いというお声をいただきます。でもそれは様々な関係者の方が作業内容を十分ご理解いただいているから可能となっていることです。鳥インフルエンザの場合は、作業によって特殊な機材を使用する場合があります。たとえばホイルローダーなどは、通常使用する型でないものを発注する必要があるのですが、以前他県で発生した際には、普通のものが届いてしまって、うまく作業ができなかったという話を耳にしました。宮崎県の場合は、依頼をすれば当然のように必要な型のものが届きます。そういう意味では、周りの関係者の方が十分理解をしてくださり、サポートしていただけているので、迅速に対応していけるのだと思います。

今回の鳥インフルエンザに対してのコメリでの対応事例 今回の鳥インフルエンザに対してのコメリでの対応事例