各地で被害をもたらした
鳥インフルエンザと現場の対応

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想定以上の被害に対する適切なマニュアル変更(兵庫県)

-兵庫県淡路市-
発生日:11/25(水)
飼養状況:採卵鶏(約14.6万羽)

【経過】
・11月25日、兵庫県は死亡鶏が増加した旨の通報を受けて、当該農場に対し移動の自粛を要請するとともに農場への立入検査を実施。
・同日、当該鶏についてインフルエンザ簡易検査を実施し陽性。
・同日、当該鶏について遺伝子検査を実施した結果、H5亜型であり、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜であることを確認。
出典:農林水産省Webサイト
(https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/201125_20.html)

淡路市1事例 採卵鶏農場 被害状況について

 11月25日10時25分、農場から家きんに異常が認められる旨の連絡が淡路家畜保健衛生所に入りました。13羽の死亡鶏のうち、7羽が隣接するケージにまとまって確認されたことから家畜保健衛生所に通報したとのことでした。
 同日の21時に、家畜保健衛生所で遺伝子検査(PCR検査)の結果、H5亜型の遺伝子が確認されたことから、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定されました。
 その結果を受け、県は「兵庫県鳥インフルエンザ対策本部」ならびに「兵庫県鳥インフルエンザ対策淡路地方本部」を設置しました。

職員の非常招集状況はいかがでしたか

 動員予定登録名簿(男性・正規職員)をもとに連絡調整を行い、淡路県民局だけでの人数確保が困難であったため、県対策本部へ防疫作業者の確保を依頼しました。それに加えて殺処分羽数が14.6万羽と作業が甚大であるため自衛隊に派遣要請を行いました。動員者の防疫作業は1クール6時間とし、1日4クール体制で実施しましたが、休日や深夜など時間帯によっては動員人数にバラつきがありました。

発生時の対策本部の実際の活動はいかがでしたか

 役割としては、動員者の集合場所運営、消毒ポイント設置、物品調達、バスや重機の手配、焼却施設との調整、市役所との調整等、多岐に渡っていました。そのため、農場で資材を管理・把握する者がおらず、現場での資材管理が上手くいかない状況がみられ、発生当初は、家畜保健衛生所職員が防疫業務と兼務で担っていました。しかし、防疫業務に手を取られ、資材管理に集中することができなかったこともあり、その調整を行う者を現場へ配置することが今後の課題となりました。

  発生時の対応はマニュアルと比較していかがでしたか

 農場への出発前に動員者に対する作業内容の説明をクール毎に行う必要がありました。また、初動の第1クールは、農場の概要を把握するために時間を要し、防疫作業に慣れていないため、最初から大勢の動員者を投入したことで現場指導者が対応できないことがわかりました。また、焼却施設の処理が追いつかず殺処分鶏の焼却終了まで想定以上の日数がかかり、動員者確保の調整に苦労しました。そこで本県は、これまで殺処分鶏は焼却を基本としていましたが、今後は埋却処理も取り入れる方針に変更しました。

従前と現在のマニュアル変更点はございますか

 農場での防疫作業動員数では、初動の第1クールを少数班、第2クール以降を多数班とし、出発前に行う作業内容の説明にはDVDを活用することを追加しました。また、発生農場の清浄区域のなかに、資材管理や防疫措置に関する支援を行う総合調整班と、清浄区域と汚染区域の間を調整する中継地を設置しました。消毒ポイントの運営にあたっては、県造園建設業協会に加え、民間の警備会社に委託できるよう変更しました。ホットラインの開設については、総務企画班の窓口案内から農林水産事務所に専門職員を配置しワンストップ対応へ変えました。

他自治体へのアドバイスや、注意喚起はございますか

 県民局内での会議室、又は現場への移動中のバスの中で、防護服の目張りや着用の仕方等を事前にレクチャーするビデオがあると作業効率が上がります。また、農場では粉塵や悪臭等、作業環境が良くないので、事前に動員者へ十分に説明しておくことが必要かと思います。その他にも、消毒ポイントの設置数は、養鶏場の実情(搬出移動実態)にあわせて24時間対応と昼間のみ対応と分け、絞り込むことが必要です。燃料(ガソリン・軽油・灯油)、消毒用の水、消耗品等を消毒ポイントから随時、発注の連絡を受け対応していましたが効率的ではありませんでした。定期的に補給する仕組みを構築しておくことをお勧めします。

NPO法人コメリ災害対策センターの対応はいかがでしたか

 要請した物資を直接、発生農場へ納品していただけたのでこちらで運搬する手間が省けました。休日問わずご対応いただきありがとうございました。

POINT
■対応やマニュアル

人数確保が困難であったため、県対策本部及び、自衛隊への派遣要請を行った。
予定作業日数の超過による人員確保が困難であった。

■物資調達

作業が多岐に渡っていたため農場で資材を管理・把握する人員の不足。


■今後の取り組み等

・資材管理の調整を行う者を現場へ配置すること。

・協消毒用の水、消耗品等を定期的に補給する仕組みを構築