見附市 / 7・13新潟豪雨災害(H16)

問題点・教訓

災害ごみの処理対策について

処理計画の確立
災害ごみ仮置き場の検討
その他
検証項目の目的
処理計画に定めたとおり、適正かつ効率的に災害廃棄物の収集及び処理を行なう
市民の良好な生活環境を保持する
対応の分析・評価
水害廃棄物排出及び収集方針の速やかな決定並びに周知
被災地域からの水害廃棄物の速やかな撤去
当初、災害廃棄物の集積場は処理委託する業者の敷地内のみと考えていたが、速やかに企業局から産業団地の一画を借り受けることができ、結果的に大量の廃棄物を集積することができた
24 時間警備により仮置き場への不法投棄を防ぐことができた
適正な分別がなされず、その後の収集、処理に支障を来たした
被災したものとは思われないような廃棄物が多数排出された
他市町村の応援部隊等がごみ回収に協力してくれたが、平常業務に戻っている部署もあったにもかかわらず、当市職員では回収に回れなかった
産業団地仮置き場の養生ができず、最終的に歩道部分、造成地の復旧を要した
主な課題
主な一次ごみ集積所にシルバー人材センターに委託して、日中、分別指導員を置いたが、集積所の箇所数が多く、夜間の排出まで対応できなかった
廃家電品は通常手数料がかかるため、水害廃棄物の無料回収に便乗したものと思われる
災害時の全庁的指揮命令系統の機能低下
急遽、仮置き場に決定したため、搬入及び集積の準備ができなかった
今後の提案
1. 災害廃棄物の処理計画自体は今後は災害に応じた具体的なマニュアル整備の必要がある。それにより、例えば、ごみ出しのやり方であれば、即座に地元と協議し、一次集積所の管理と効果的な分別方法の指導を行うなどの対応ができる。
2. 家電リサイクル品など、本来有料であるような廃棄物の引き取りは、まず本人から負担してもらったうえで、市にその負担分の補助申請をするような形式が考えられる
3. 緊急時であるので、部署の業務遂行上最低限の人員を残すほかは、すべて職員は本部付けとし、災害対応にあたられるような組織体制づくりが望まれる

道路・橋梁、河川等の危険情報収集と発信について

現地確認体制の整備
検証項目の目的
市内の幹線道路や河川・重要構造物等の状況を迅速に把握する
対応の分析・評価
パトロールによる安全確認の早期対応
橋梁安全点検の早期対応
情報や行動を随時記録した
各水防支部に河川の状況について問い合わせることができた(一部)
通行車両等危険回避の誘導
危険箇所や重要構造物の継続的な監視
各水防支部から河川の情報がこないところがあった
主な課題
建設課単独での対応から来る人員不足
避難勧告を受けて支部長等住民が避難していた(人命優先)
各支部長との連絡手段がない
今後の提案
1. 災害時の人員確保は全庁的に取組む
2. 召集時期、安全確認箇所、優先順位、出動方法、確認項目、緊急措置、応援依頼、情報発信先、連絡記録方法等の詳細なマニュアルを作成する
3. 指揮者不在時の初動の遅れを防ぐ
4. 人員不足をカバーするために重要地点に監視カメラを設置する等、監視システムを整備する
5. 初動対応訓練や無線操作の習熟訓練を行なう
6. 各水防支部で災害時のマニュアルを整備する
7. 緊急時における支部長との連絡方法を整備する
関係機関との連携による情報の収集と発信
検証項目の目的
関係機関と連携を図り、迅速な情報収集と早期情報発信を行う
対応の分析・評価
見附市外や広域的な道路連絡状況の情報収集および情報発信ができなかった
主な課題
長岡地整・警察署、近隣市町村との連絡が不十分
関係機関と事前の協力体制ができていない
今後の提案
1. 各機関と相互に情報提供を行ない、TV・ラジオ等のマスメディア利用やPCや携帯電話等で常時交通・危険情報が配信されるシステムを構築する
2. 幹線県道に電光掲示板等の情報提供システムを整備する
3. 各機関と連携訓練を実施する
4. ダム情報の収集
その他
検証項目の目的
地域に対して確実に情報を発信するとともに、効率的な情報交換を相互に行う
対応の分析・評価
河川の水位やダムの情報は、県等から収集できていた
各水防区支部長には連絡できていたが住民に対して伝達できていなかった
被災現場の確認作業で他の部署と重複する等、非効率だった
マスコミへの情報発信対応
主な課題
住民への情報伝達手段が構築されていなかった
嘱託員の職務が多すぎる
関係課との事前調整や連携不足
情報管理が徹底されていない
今後の提案
1. 各町内で嘱託員だけに頼らない情報伝達体制を整備する
2. 各課の分担区域・箇所の明確化等、事前調整の実施と災害時における連絡協議体制の確立
3. マスコミへの対応は本部に一元化する

迅速な道路交通の確保について

道路・橋梁等の通行確保体制の整備
検証項目の目的
迅速な交通確保と交通誘導を行える体制を確立する
対応の分析・評価
橋梁等重要構造物の安全確認をコンサルタント会社に委託した
通行車両等危険回避の誘導ができなかった
主な課題
建設課単独での対応から来る人員不足
今後の提案
1. 災害時の人員確保は全庁的に取組み通行確保までのマニュアルを作成
2. 重要箇所に監視カメラを整備する
3. 関係機関、関係部署と作業分担を明確化し、事前調整を行うとともに災害時においては連絡協議体制を確立する
4. 建設業組合やコンサルタント会社等と災害協定を結び、早期点検・安全確認ができる体制を整備する
仮復旧や交通規制による2次災害防止および交通の確保
検証項目の目的
危険箇所の復旧や交通規制により、市民の安全を確保する
対応の分析・評価
バリケード等の早期設置により危険回避および交通確保ができた
建設業者や地元からの協力による通行規制の実施
直営による橋梁部段差や道路陥没等の仮復旧を実施し、二次災害を防止した
通行止めの意思表示が明確ではなかった等、確実な交通規制ができなかった
通行止め、工事施工箇所等の情報の全庁(市)的な共有化
主な課題
バリケード等の資材不足
進入車輌の阻止が不十分
リアルに共有するための適当な媒体が無かった
今後の提案
1. 今町、見附、上北谷、北谷各地区にバリケード等の資材備蓄倉庫を整備する
2. 警察官の立会い要請や市の所有車輌全てに回転灯を設置する
3. 情報共有化のためのGISマッピングの整備
4. 専任の情報管理責任者の設置
5. 関係部署や建設業者、警察署、地元住民と連携した交通規制体制を整備する
6. 緊急輸送路等の幹線道路確保のために、仮復旧までのマニュアルを作成する
その他
検証項目の目的
関係部局が協力し、円滑な道路復旧を行う
交通情報を早期に詳しく発信する
対応の分析・評価
占用工事者との調整
迂回路の表示
主な課題
道路管理者へ占用工事の情報が集まらない
人員不足と意識の欠如
今後の提案
1. 工事箇所・工期・施工者等、工事情報の全庁的な共有化を図る
2. 道路法手続き、運用を厳格に行なう
3. 交通規制マニュアルに組み込む
4. ホームページへの掲載

土砂災害危険箇所、公園、公営住宅等の安全確保について

各施設の安全確認体制の整備
検証項目の目的
土砂災害危険箇所、公園、公営住宅等の状況を迅速に把握する
対応の分析・評価
二人体制で現場を確認した
水道山・観音山の安全を確認するため、コンサルタント会社に委託した
水害後、被災公営住宅の調査をすることがすぐにできなかった
道路等災害現場に対応していたため、公営住宅や公園の確認は後回しになった
主な課題
水害時、道路が寸断されていたこと
建設課単独での対応から来る人員不足
今後の提案
1. 施設毎に各担当者が災害時にすべきことを確認し、安全確認マニュアルを作成する
2. 日頃から関係住民に危険箇所や危険区域を周知し、自主的な安全確認・早期避難を啓発する
3. 関係者の参加による防災訓練を実施する
4. 災害時の人員確保は全庁的に取組む
仮復旧や出入り禁止措置による2次災害防止および安全確保
検証項目の目的
危険箇所の復旧や使用規制により、市民の安全を確保する
対応の分析・評価
水道山・観音山の災害発生の危険度を確認するためクラックを観測した
公園が被災し危険箇所があるため、立ち入り禁止の看板、トラロープを設置した
今後の提案
1. 周辺住民や団地住民等の関係者と協力し、早期に出入り禁止措置が取れる体制を整備する
2. 関係業者や専門家(コンサルタント)と災害協定等を結び、危険箇所・公共建物・重要構造物の点検実施体制を整備する

公園等オープンスペースの利用計画について

オープンスペースの多目的な利用方法
検証項目の目的
自衛隊宿営地や仮設住宅設置場所など、多様なオープンスペースの利用方法と候補地を事前に決めておく
対応の分析・評価
支援物資の配布場所として土のう袋を配置した
自衛隊宿営地やヘリポートとして利用できなかった
地域の一次避難所としての機能を発揮しなかった
主な課題
必要な規模のオープンスペースが無い
オープンスペースを一次避難所として定めている地域が少ない
今後の提案
1. 災害拠点として十分対応できる広さのオープンスペースを適正な位置に確保する
2. 市指定の避難所から離れた地域では、一時集合場所を定めるよう促す
3. 地区単位で仮設入居者が出た場合は近隣のオープンスペースを利用する
4. 自衛隊、ボランティアの宿営地としての活用等、目的ごとに利用可能なオープンスペースを事前に列記する
災害ゴミの一時集積場所としての機能
検証項目の目的
災害ゴミの計画的な集積により道路交通を確保する
対応の分析・評価
関係課と協議し、応急的な災害ゴミ集積場として利用した
今後の提案
1. 事前に災害ゴミの収集方法を確立しておき、むやみに道路等に積み上げないよう周知する

災害復旧業務について

復旧作業について
検証項目の目的
迅速な復旧、復興を行なう
対応の分析・評価
16年度で工事発注をほぼ終了
(工事は17年度へ繰越)
災害査定、工事発注が集中し職員の対応が限界であった
主な課題
技術職員の不足
今後の提案
1. 職員配置の柔軟な対応
2. 県・他市との支援体制の確立

委員会と学校の連携について

被害調査
検証項目の目的
早期に施設復旧を実施する
対応の分析・評価
施設被害状況の把握施設修繕、補修
災害発生時迅速に状況把握ができなかった
主な課題
災害発生時本部動員要請により、被害状況の把握が迅速にできなかった
災害復旧
検証項目の目的
施設の通常運営
対応の分析・評価
施設復旧は終了
児童生徒の避難指導
検証項目の目的
児童生徒の安全を確保
対応の分析・評価
各小中学校とも保護者に確実に児童生徒を手渡して引き渡すか、教員が引率し集団下校させ全員無事故で家庭に帰すことができた
「自宅待機」の指示を出した学校は1校であったが(今小、7:30頃)児童の半数は登校した
一旦登校すると児童生徒を下校させようとしても、共働きの家庭も多いため家人が居なく下校させられなかった
主な課題
7:30指示指令が遅かった
休校の判断が遅かった
共働き家庭も多く家人がいなかった
今後の提案
1. 児童生徒が登校する前に自宅待機指示が出せるようなシステム方法が必要と思われる
2. 保護者に情報が一斉に伝わるメールシステム(通報)が必要
3. 各学校への迅速な情報提供システムの構築
(水位により自宅待機、下校させるまたは学校への留置き等を防災関係機関(市)と協議する)
学校給食の確保
検証項目の目的
健康な児童生徒を育てる
対応の分析・評価
早期復旧による給食開始
給食センターから委託している調理業務・配送業務委託業者の協力確保
連絡体制の確保
主な課題
給食センターが出先のため、被害状況の把握が出来にくい
今後の提案
1. 連絡体制の確保を図るため、無線の設置
2. 学校栄養職員は県職又は非常勤職員のため市職員(栄養士資格所有)が献立や業者への発注等実施する体制の整備
災害時における応急教育
検証項目の目的
欠課時数の減少
対応の分析・評価
平成16年7月14日 市内全校休校
名木野小・南中・見附養護 平成16年7月19日まで臨時休校
欠課時数の確保
今後の提案
1. 長期休業中の弾力的運用
学用品の調達あっせん
検証項目の目的
通常授業を行なえる体制を整える
対応の分析・評価
学用品を供給できた
今後の提案
1. 災害復旧については、迅速性を要するものと、時間を要して調査を行なうものがある。学校備品の復旧は後者であるが、施設復旧と同じ前者で行なわなければならなかったため学校現場に十分な調査時間が無かった。

学校以外の文教施設の対応について

避難所の開設及び避難者の誘導等
検証項目の目的
被災者の安全、誘導の安全を確保するため
対応の分析・評価
災害発生直後、直ちに施設職員を勤務施設に配置するとともに避難者への対応を行なった
本部からの動員職員及びアルバイトの動きが悪く、施設職員の負担が大きかった
主な課題
施設に不慣れのためと日々人が変わるため
今後の提案
1. 管理代行員を夜間の施設管理にあたらせ、施設職員が動員者のチーフとなり、避難所の運営にあたる
2. また、全職員に部屋や器具の配置等認識させる必要がある。
3. 浸水に対応した施設に見直す。
情報の共有化
検証項目の目的
施設の通常運営被災者の安全確保図るため
対応の分析・評価
本部からの情報が入らず、避難者への状況説明ができなかった
主な課題
伝達方法が確立されていない
今後の提案
1. 全避難所に対しファックスを設置し紙ベースによる情報伝達が必要である。メールも一つの方法であるが、忙しい現場には、現物支給(ファックス)が良い
避難者に対して
検証項目の目的
安全確保
今後の提案
1. 度重なる災害を経験しているため、住民に対し避難袋の常備を義務付けることが重要である。避難者が開口一番に言うことは、食料であった

教育機関の安全性確保

定期的安全点検の実施
検証項目の目的
災害に対し建築物の安全性の確認
対応の分析・評価
特定建物定期調査及び緊急危険度調査を実施
その調査に基づき、危険箇所について応急措置を実施
指摘を受けた改修が一部未実施
主な課題
予算面について
今後の提案
1. 計画的に実施する
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